々はここに同盟会を解散すべき運命に陥ったのである」
老博士は毅然として言い終った、失望落胆に沈んだ聴衆は号泣して屋外に走ったが、この時月の引力に依って起った大|海嘯《かいしょう》は、たちまちにしてその半数以上の人命を奪い、次で宏大なる同盟会議所も、又激浪の呑む所となって仕舞ったのである。
と見れば月は朦朧たる影を以て、宛然《さながら》魔神のごとき顔して、今にも地球に衝突を試むべく、刻々相近接して来る、その勢の猛烈なる、その表面の猛烈なる、とても再びとは見られぬ図だ。
生き残りたる人民は、せめて最後までとの覚悟を以て、高山の頂きにと攀《よ》じ登った、海水は百丈千丈の大濤をたてて、万雷一時に落下するがごとく、叫喚の声は絶えず四方に起りつつあるが、波濤のひびき高ければにや、それすら聞えないのである。
翻って太陽の有様は如何と見るに、これ又末期の近付いた故か、曩《さき》の煌々たる光はどこへやら、地球の人民のそれと等しく、僅かに大塊の一部分から、微弱なる光熱を放射するに過ぎぬ、ああ数千億年の昔しより、常に宇宙の一辺に覇《は》たりし太陽も、時勢の力に打ち勝つ能わず、見苦しき亡骸《なきがら》
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