やうけん》を充たす地には大部落《だいぶらく》存《そん》せしならん。住居《ぢうきよ》の大小は家族《かぞく》の多少に因る事|勿論《もちろん》なれど塲合《ばあひ》に由つては一個《いつこ》の大部屋を設《もう》くる代りに數個《すうこ》の小部屋を作る事も有りしと思はる。瓢形《ひやうかた》の竪穴《たてあな》の如き即ち其例なり。穴《あな》を作《つく》るに當つては、或は長さ幾歩《いくほ》、幅《はば》幾歩と歩《あゆ》み試み、或は繩《なわ》を採《と》り尋數《ひろすう》を測《はか》りて地上に張《は》り廻《めぐ》らし、堀る可き塲所《ばしよ》の大さを定め、尖《とが》りたる棒《ぼう》を以て地を穿《うが》ち、籠《かご》、席《むしろ》の類に土を受け、且つ堀《ほ》り且つ運《はこ》び多くの勞力《ろうりよく》を費して仕上《しあ》げたるものならん。アフリカ某|地方《ちはう》の土人は土堀《つちほ》り用の尖《とが》りたる棒《ぼう》に石製《せきせい》の輪《わ》をば鍔《つば》の如くに篏《は》めて重《をも》りとし、此|道具《どうぐ》の功力《こうりよく》を増す事有り。本邦石器時代遺跡《ほんぱうせききじだいいせき》より出づる石輪中《せきりん
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