考へにして誤り無くんば、常陸地方に棲息《せいそく》せし石器時代人民も北海道に於ける者と等しく竪穴を以て住居とせし者と思惟《しゐ》すべきなり。
余は全國の石器時代人民が悉皆竪穴に住居せしや否や明言する能はざれど、彼等の住居《ぢうきよ》として余が今日迄に知るを得たるは竪穴に關する事實のみなるが故に、コロボックルの住居は如何なるものかとの問に對しては、少くとも或る地方に於ては竪穴なりしなりと答へんとす。
●竪穴
北海道現存の竪穴は、前にも述べし如く、二疊敷より五十疊敷位の大さにて深《ふか》きは人の丈位《たけぐらひ》なるが、周壁の上端は地面よりも高く盛《も》り上《あ》がりて堤《つつみ》の形を成し居るもの故、摺《す》り鉢《ばち》を土中に埋《うづ》めて其縁《そのふち》の部を少し高く地上に露《あらは》し置けば竪穴の雛形《ひながた》と成るなり。土壁の部の深さを六尺位にせしとする者は、先づ地面を四尺計り堀《ほ》り下《さ》げ、堀り出したる土を以て高さ二尺計りの堤を築き廻らせしならん。堤の一部分には切り開きたる所有り。出入口なるべし。竪穴の形は方形、長方形、圓形、橢圓形、瓢形等にて一つの穴の大さは八
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