等《これら》は皆現今用ゐらるるものの例なれど、古代に在ても地方《ちはう》に由り人種に由つては種々樣々《しゆ/″\さま/″\》なる住居《ぢうきよ》有りし事疑ふべからず。コロボックルは如何なる種類《しゆるゐ》の住居を有《いう》せしや。之をアイヌ間に存する口碑に徴《ちやう》するに、コロボックルは土を堀り窪めて低所《ていしよ》を作り、木の幹《みき》枝《えだ》を以て屋根の骨とし、之を草木《さうもく》の葉にて覆ひて住居とせしものの如し。
アイヌが指《さ》してコロボックルの遺跡《ゐせき》なりとするものは何れも竪穴にして、其廣《そのひろ》さは疊二枚敷より五十|枚敷位《まいじきぐらゐ》に至り、深さは通例五六尺位なり多《おほ》くの年月を經《へ》て斯《か》かる有樣と成りしもの故其始めは更に廣《ひろ》く更に深《ふか》かりしならん。是等の竪穴《じゆけつ》がコロボックルのものたる事、即ち石噐時代人民《せききじだいじんみん》のものたる事は口碑《こうひ》のみに由つて推測《すゐそく》するに非ず、土中の發見物《はつけんぶつ》に由つて確知するを得《う》るなり、北海道諸地方現存の竪穴よりは石器時代土器石器の破片出づ。此事は余
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