《のこ》せし人民が[#「人民が」は底本では「人民か」]時としては人肉を食《くら》ひし事有りしを証するものと考ふ。此想像《このそうぞう》にして誤り無《な》からんか、コロボツクルは我々日本人は勿論《もちろん》アイヌも恐《おそ》れ嫌《きら》ふ可き食人の習慣《しふくわん》を有せし人民にして、其|性質《せいしつ》日本人及ひアイヌとは大に異りたるものと云ふ可きなり。人肉《じんにく》にして若し他の肉類《にくるゐ》と等《ひと》しく食用に供されしものならは其|調理法《てうりはう》に於ても亦|同樣《どうやう》なりしならん。
●飮食法
遺跡《ゐせき》より發見《はつけん》せし土噐の中には椀形《わんがた》のもの有り、皿形《さらがた》のもの有り、鉢形のもの有り、諸種《しよしゆ》の飮食物を盛《も》るに適《てき》す。是等の他に食器として用《もち》ゐるに足る小籠抔《こかごなぞ》も有りしならん。土噐の形状中には籠《かご》の形《かた》を摸《も》せしものも有れは此考へは一概に空想《くうそう》なりとは云ふ可からす。匙《さじ》としては貝殼に柄《え》を付《つ》けたるもの用ゐられ、肉差しとしては獸骨を割《わ》りて磨《す》り
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