つくり/火」、第3水準1−87−52]《に》たるものも其一ならん。或は酒《さけ》に似《に》たる嗜好品《しこうひん》有りしやも知る可からず。
    ●食ひ物
口碑《こうひ》に從へばコロボツクルは漁業《ぎよげふ》に巧《たくみ》にして屡ばアイヌに魚類を贈《おく》れりと云へり。今諸地方貝塚よりの發見物《はつけんぶつ》を檢《けん》するに、實に魚骨魚鱗等有り。然《しか》れども彼等の食物《しよくもつ》は决《けつ》して魚類に限《かぎ》りしには非ず。そは發見物《はつけんぶつ》に由つて充分《じうぶん》に證《しやう》する事を得るなり。
貝塚は如何にして作《つく》られたるか。總《すべ》てに通じて斯く斯くなりと斷言《だんげん》する事は出來ざれど、主として物捨て塲なりと思へば誤《あやま》り無し。貝塚の中よりは用に堪えざる土噐の破片出で、又折れ碎けたる石噐出づ。獸類《じうるい》の遺骨《いこつ》四肢《しし》所《ところ》を異《こと》にし二枚貝は百中の九十九迄|離《はな》れたり。遺跡《ゐせき》を實踐《じつせん》して考ふるも、之を現存《げんそん》未開《みかい》人民の所業に徴するも、貝塚に於ける穿鑿《せんさく》が食物原料調
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