りて管より之を吸《す》ひしやに考へらる。
以上の二種の土器《どき》は或る飮料《ゐんれう》をば飮み手の口に移《うつ》す時に用ゐし品の如くなれど、土瓶《どびん》或は急須《きうす》と等《ひと》しく飮料を貯《たくわ》へ置き且つ他の器に灌《そそ》ぎ込《こ》む時に用ゐし品と思《おも》はるる土噐も數種《すうしゆ》有《あ》り。
是等種々の土器の存在《そんざい》に由つて考《かんが》ふるにコロボツクルの飮み物は湯水《ゆみづ》のみには非《あら》さりしが如し。灌《そそ》ぎ出すに用ゐたりと見ゆる土噐唇に觸《ふ》れたりと見ゆる土噐の容量《ようりやう》、比較的《ひかくてき》に小なるは中に盛りたる飮料《ゐんれう》の直打《ねう》ち湯水よりは貴《たふと》きに由りしならん。余は普通《ふつう》の水、普通の湯をば斯《か》かる器より灌《そそ》ぎ、斯かる器より飮みしとは信《しん》ずる事|能《あた》はざるなり。
湯水の他の飮料《ゐんれう》とは如何なるものなりしや。鳥獸魚介《てうぢうぎよかい》の※[#「睹のつくり/火」、第3水準1−87−52]汁も其一ならん。草根木實《そうこんもくじつ》より採《と》りたる澱粉《でんふん》を※[#「睹の
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