土器の事を言ふ折《お》りに細説《さいせつ》すべけれど、大概《たいがい》を述ぶれば其|全体《ぜんたい》は大なる算盤玉《そろばんだま》の如くにして横《よこ》に卷煙草《まきたばこ》のパイプを短《みぢか》くせし如き形の注《つ》ぎ出し口付きたり。此噐の用は未《いま》だ詳ならざれど[#「ならざれど」は底本では「ならざれと」]之《これ》を手に取りて持ち加減《かげん》より考ふるに、兩方《りやうはう》の掌を平らに並《なら》べ其上に此噐を受け、掌を凹《ひく》くして噐の底《そこ》に當て、左右の拇指《おやゆび》を噐の上部に掛《か》けて噐を押《お》さへ、注《つ》ぎ出し口を我か身の方に向け之に唇を觸《ふ》れて器を傾《かたむ》け飮料を口中に灌《そそ》ぎ込《こ》みしものの如く思はる。
又小形の御神酒|徳利《とくり》に似《に》たる土噐にて最も膨《ふく》れたる部分に圓《まろ》き孔《あな》を穿《うが》ちたるもの有り。是《これ》も用法|不詳《ふしやう》なれど、煙管《きせる》のラウの如き管《くだ》をば上より下へ傾《かたむ》け差《さ》し込《こ》み、全体《ぜんたい》をば大なる西洋煙管の如くにし、噐中に飮《の》み物《もの》を盛《も》
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