迄に知《し》れたる土器の中にて最も大なる物も直徑一尺五寸に達《たつ》せず。現に我々の使用《しよう》する水瓶《みづがめ》に比しては其|容量《ようりやう》誠に小なりと云ふべし。思《おも》ふにコロボツクルは屋内《おくない》に數個の瓶鉢類を並列《へいれつ》して是等に水を貯《たくわ》へ置《お》きしならん。
遺跡發見物中には灰《はい》も有り燒《や》けたる木片《ぼくへん》も有りてコロボツクルが火《ひ》の用《よう》を知り居りし事は明なるが、鉢形《はちがた》鍋形《なべがた》の土器の中には其外面の燻《くす》ぶりたる物も有れば、湯《ゆ》を沸《わ》かし、食物を煮《に》或るは羹《あつもの》を作る事の有りしをも推知《すいち》せらる。灰及び[#「及び」は底本では「及ひ」]燒け木は竪穴《たてあな》の隅《すみ》より出づる事有り、又《また》貝塚の中より出づる事有り。飮食物《いんしよくぶつ》の煮焚《にた》きは屋内にても爲し又屋外にても爲せしが如し。
余は既に土器の中に湯水《ゆみづ》を飮むに適《てき》したる椀形《わんがた》のもの有る事を述べしが、別に急須形《きうすがた》のもの有り。其|製作形状《せいさくけいじやう》等に付ては
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