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此中四個の表面《へうめん》には額の部に「一の字」形隆まり有り、又《また》兩方《りやうはう》の耳《みみ》の邊《へん》より顎の邊へ掛けて「への字」を倒さにしたる形《かた》の隆まりも有り。是等《これら》の隆まりにて界されたる中に兩眼《りやうがん》と鼻と口との存するを見れば、土偶は頭巾《づきん》の前部より面の現《あらは》れたる形に作《つく》られ有るが如し。第三の土偶《どぐう》は面の上下共凹みたる線《せん》にて界されたれど、全体《ぜんたい》の形状境界の位置共《ゐちとも》他の土偶と等《ひと》しくして、示す所は同じく頭巾の縁《へり》にて面の上下を覆《お》ひたる形と思はる。
五個の土偶は何れも後頭部に多少《たせう》の膨らみ有り。第一、第二、第三の三個に於ては殊《こと》に甚し。此の膨らみは疑《うたが》ひも無く頭巾の後部《こうぶ》を示せしものなり。第一、第二、第三の頸部には一二條の線《せん》を廻《めぐ》らしたり。こは頭巾《づきん》と上着と相《あひ》連續《れんぞく》する部分をば紐《ひも》にて括りたる状ならん。是等三個の面部左右兩端《めんぶさいうりやうはし》には前後に貫通《くわんつう》する小孔各一個有り。
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