又アイヌの祖先たらざりし事も明かなり。一事を擧《あ》げて之を日本人及びアイヌの所業《しよげふ》に照らし、一物を採《と》つて之を日本人及びアイヌの製品《せいひん》に比《ひ》し、論斷を下すが如きは、畫報《ぐわはう》の記事《きじ》として不適當なるの感無きに非ざれば、夫等の事は一切省畧して、只|肝要《かんえう》なる一事のみを記すべし。之は他に非ず、石器時代の遺跡より發見《はつけん》する所の人骨は日本人の骨とも異り、又アイヌの骨とも等《ひと》しからずとの一事なり。日本諸地方に石器時代の跡《あと》を遺したる人民にして、體格《たいかく》風俗《ふうぞく》、日本人とも同じからずアイヌとも同じからずとせば、此《この》人民は何者なりしか、其|行衛《ゆくゑ》は如何との二疑問次いで生ずべし。余は本篇の諸所に於て現存《げんぞん》のエスキモが好く此《この》石器時代人民に似たりとの事を記《しる》し置しが、古物、遺跡、口碑を總括して判斷《はんだん》するに、アイヌの所謂《いわゆる》[#ルビの「いわゆる」は底本では「ゆわいる」]コロボックルはエスキモ其他の北地|現住民《げんぢうみん》に縁故近き者にして、元來《ぐわんらい》は
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