間には甞て道路存在せしなるへけれど、此所と云ひて指示《しぢ》するを得る所は未だ發見せす。今交通の事を述へたる後に熟考《じゆくかう》するに、一部落と他部落との間には、人々の多く徃來《わうらい》する所、即ち多くの人に蹈《ふ》まれて自《おのづか》[#ルビの「おのづか」は底本では「お」]ら定まりたる道路の形を成せる所有りしならんとは推知せらるるなり。コロボックルの住居《すまゐ》には直徑五六間のもの徃々有り。是彼等が長大なる木材を用ゐし事有るを間接《かんせつ》に示すものなり。(第五回參照)コロボックルにして長大なる木材を用ゐたりとせんか、既に衣服有つて其水に潤ふを厭ふべき彼等《かれら》が、細流《さいりう》の上に丸木橋を架して徃來に便にする事を思ひ付かざる理有らんや。余は未だ[#「未だ」は底本では「未ば」]確證を得ざれども、推理及び現存未開人民の例に由りて、コロボックルは恐らく橋を有せしならんと考ふるなり。
○運搬
コロボックルが舟を用ゐしとの事はアイヌの[#「アイヌの」は底本では「アイヌノ」]口碑に存す。但し其舟は丸木舟《まるきふね》のみならずして、草《くさ》を編《あ》みて作れる輕き物も
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