れる人民の手に成りしもの有りとの反証《はんせう》出《い》でざる間は斯く考ふる方道理有りと云ふべし。同一人民とは即ちコロボックルなり。彼等の住居せし跡《あと》が斯《か》く諸地方に散在《さんざい》するは、移住《いぢう》に原因するか、又は同一時に於ても此所彼所に部落の在りしに原因するか、如何と云ふに、こは何れか一つと限るべきに非ず、移住にも因る可く部落《ぶらく》の散在《さんざい》にも因る可きなり。移住と云へば固よりの事、部落散在《ぶらくさんざい》と云ふも異地方交通の途開け居りし事推知すべきなり。同一時に於て此所彼所に同一人民の部落存在せりとは、取りも直《なほ》さず、其前の時代に於て移住行はれたりと云ふ事なり。既に交通《こうつう》の途《みち》開《ひら》け居たりとすれば、異部落相互の間にも往來《わうらい》有《あ》りしと考ふるを得べし。此事の確証《かくせう》は遺物中《ゐぶつちう》より發見さるるなり。一例を擧げんか。東京にも其近傍にも天然に黒曜石を産する地は有らざるに、此地方の石器時代遺跡よりは黒曜石製の石鏃|出《い》づる事多し。原料の儘にもせよ、又は製造品《せいぞうひん》としてにもせよ、是等の黒曜
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