ど》を當《あ》て、他の小石を槌として之を打《う》ち徐々に凹《くぼ》みを設《まう》けしならん。
    ●石皿
圖中凹み石の下《した》に畫《ゑが》きたるは石皿の例にして其發見地《そのはつけんち》は武藏青梅近傍日向和田なり。一|方《はう》には深《ふか》き凹み有り、一方には物《もの》を掻《か》き出《だ》すに都合好《つがふよ》き構造《かうぞう》有《あ》り。單に形状《けいじよう》のみを見るも穀類抔《こくるゐなど》を粉《こ》にする時《とき》の臺《だい》の如くに思《おも》はるれど、アフリカの内地《ないち》の土人は現に同形《どうけい》の石器を同樣《どうやう》の目的《もくてき》に用ゐ居るなり。此類《このるゐ》の石器にして果《はた》して粉製《こつく》りの臺たらば、是《これ》に對《たい》する粉潰《こつぶ》しの道具《どうぐ》も有る可き筈《はづ》なり。事實《じじつ》如何《いかん》と云ふに日向和田に於《おい》ては實際《じつさい》石皿と伴ふて是《これ》に適合《てきがふ》する橢圓石《だゑんせき》發見《はつけん》されしなり。思ふにコロボツクルは是等の石器《せきき》を用ゐて草木《さうもく》の實《み》を壓《を》し潰《つぶ》し食用《しよくえう》の粉《こ》を製《つく》りしならん。石皿の名《な》は决《けつ》して適切《てきせつ》には非ざれど、他《た》に好《よ》き名を思《おも》ひ付かざれば姑《しばら》く通稱《つうしやう》に從ふのみ。類品《るゐひん》諸所《しよ/\》より出でたり。之《これ》を作るには火山石の適宜《てきぎ》の大さのものを撰《えら》び凹み石を作ると同樣《どうやう》の順序《じゆんじよ》を經《へ》て、一|面《めん》に大なる凹みを設《まふ》け、此凹みの内部《ないぶ》をば他《た》の石を以て摩《す》り※[#「冫+咸」、83−上−6]《へ》らしたるものなるべし
    ●骨器
石器時代《せききじだい》の器具《きぐ》とて何者《なにもの》も總《すべ》て石を材料《ざいれう》とせしには非ず。獸類の骨《ほね》にて作《つく》りたる物、魚類《ぎよるゐ》の骨《ほね》にて作りたる物等《ものら》も正《まさ》しく石器時代の遺跡《ゐせき》より發見《はつけん》さるるなり。圖中石皿の右に在るは獸骨器の尖端《せんたん》なり。此《かく》の如《ごと》き骨噐はエスキモーの現用漁業具中《げんやうぎよげうぐちう》に在り。此所《ここ》に畫《ゑが》きたるもの
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