して、自分の本をぺらぺらめくる)弱ったな。……柳宗元はちっともやってないんだ。
学生2 (慰《なぐさ》めるように)第一、橘《たちばな》先生がいけないんだよ。……いくらなんでも葵祭の翌日に試験をするなんて、あんまり非常識すぎるよ。
学生1 (絶望的にぺたんと本を閉じ、左へ歩きながら)あゝあ。せっかく、楽しみにしてたのに。……今年の葵祭はおじゃんだ。……家へ帰って、また暗誦だ、暗誦だ。……お社《やしろ》のお神楽《かぐら》も諦《あきら》めた。
学生2 僕あ行くよ。……(左へ退場)
女4 (右より)そういうお噂《うわさ》なんですって。
女5 まあ、……大納言様が?
女4 もっぱらよ。
女5 でも、まあ、奥の方のお可愛想なこと!
女4 それに、今度の御相手は、なんでも、竹籠《たけかご》作りのお爺さんとかの娘で、それもまだ十七、八のとんだ賤《いや》しい田舎娘《いなかむすめ》なんですって!
女5 まあ、呆れ果てた!……ね、どなたからお聞きになったの?
女4 ……さる御方からね。
女5 ねえ、どなたなのよ。
女4 さるやんごとない御方。……ふふ。……それは秘密。
女5 まあ、憎らしい。(左へ退場)
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