蝶 なよたけ! さあ! 早く、早く!
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(舞台、再びもとの通りに移動)
なよたけ、家の土間の中へ駆け込む。
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なよたけ お父さん! またいつもの変な人がやって来たのよ。うまく追い返して頂戴《ちょうだい》!
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造麻呂、黙ってうなずき、素知《そし》らぬ顔で竹籠《たけかご》を編み続ける。なよたけ、竹簾《たけすだれ》を下して、右手奥の部屋に消える。
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けらお (空を見上げ)悪い雲がやって来たぞイ! お天道様の御機嫌が悪くなって来たぞイ!
蝗麻呂 冷い風が吹いて来た!
みのり 小鳥もみんなどこかへ行っちゃった!
胡蝶 あたしお家へ帰ろう!
雨彦 みんな、お家へかくれて待ってよう!
こがねまる おい! じゃ、みんな、またあとでな!
わらべ達 (思い思いに)またあとで! またあとで! またあとで!………
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わらべ達、散り散りばらばらに消えてしまう。竹の林がにわかにざわざわと鳴りひびき始めた。……あ
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