蝗麻呂《いなごまろ》! (指さして)じゃ、向うの方でちゅんちゅん鳴いてるのは?
蝗麻呂 やまがら! (やまがらの鳴声、一段と高く、ひとしきり)
なよたけ こがねまる! こっちの方で、ひーよひーよって鳴いてるのは?
こがねまる ひわ! (ひわの鳴声、一段と高く、ひとしきり)
なよたけ けらお! 今度は、ほら、あっちの上の方で、ちちちち ちろろって鳴いてるのは?
けらお ほおじろだイ。(ほおじろの鳴声一段と高く、ひとしきり)
なよたけ 胡蝶《こちょう》! ほら、ほら!……向うの方からぶーんぶーんってこっちへ飛んで来る小さなものはなあに?
胡蝶 あ! みつばち! みつばち! みつば………
なよたけ 逃げなくったって大丈夫! こっちでおいたをしなければ蜜蜂《みつばち》は決して刺《さ》したりなんかしないわ。……ほら、行ってしまった。……蜜蜂さん!……綺麗《きれい》なお花の咲いてる処《ところ》には悪いあんなあな[#「あんなあな」に傍点]がたくさんいるからお気をつけ!
みのり (突然、不可解そうに)なよたけ! なよたけ! あれは何! ほら! あれは何!(空中を指さしている)
なよたけ どこ?
みの
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