下げ]
なよたけ、老爺《ろうや》の背後を通って、左手の小路へ出る。わらべ達は嬉しそうになよたけのまわりを取囲《とりかこ》む。
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蝗麻呂 ねえ、どこへ行こうか、なよたけ!
こがねまる また街道の見えるとこがいいや!
なよたけ 今日は遠いところは駄目《だめ》よ。あんまり遠くへ行くと、みんなまた晩御飯を食べそこなってしまうわ。
けらお ちぇッ! つまんねえの!
なよたけ またお前は我儘《わがまま》を云う。……云うこと聞かないんなら、帰ってしまうわよ。
わらべ達 (けらおを除き)いやだ! いやだ!………
なよたけ お前でしょ、けらお。さっきあたしのことをあんなあな[#「あんなあな」に傍点]って云ったのは?
胡蝶 けらおよ!
みのり けらおよ!
けらお (ひとり、不貞腐《ふてくさ》れている)……おらだい。
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間――
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なよたけ 駄目ねえ、お前は。……お前のお家は一番都に近いから、街の子供達が誘いに来ると、すぐ一緒に行ってしまって、一日中
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