あんなあな[#「あんなあな」に傍点]!
造麻呂 うるさい子だね。
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竹簾《たけすだれ》が上った。その向うになよたけが立っている。田舎娘だが、天使のごとき清楚《せいそ》な美しい少女である。
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雨彦 あ! なよたけだ!
わらべ達 (悦《よろこ》びに心|震《ふる》えて。思い思いに)なよたけ! なよたけ!………
こがねまる ね、行こう!
蝗麻呂 さ、行こう!
けらお 遊びに行こう!
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二、三の者は戸外に駆け出る。
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なよたけ (草履《ぞうり》をはきながら)静かにしなければ嫌《いや》。うるさくする子はもう遊んであげない。……お父さん。また、みんなと一緒に遊びに行って来るわ。
造麻呂 (仕事を続けながら)あんまり遠くへ行ってはいけないよ。……春になってからと云うものは、お前のお尻《しり》をつけねらう色男が四人や五人じゃきかないんだから。……まったく物騒と云ったらありゃしない。
なよたけ すぐその辺。
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