光も見えず
白雲も い行き憚《はばか》り 時じくぞ
雪は降りける 語り継ぎ 言い継ぎ行かむ
不尽の高嶺は……
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文麻呂 (不尽を仰ぎながら)あの時代には国中の人達が美しい調和の中に生きていたのですね。……お父さん! 僕はしあわせです。(うっとりとして)万葉を生んだ国土。うつくしい国土。僕はこの国に生れたことを心の底からしあわせに思っています。
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右手、遠くの方から、瓜生ノ衛門夫婦の唄う「瓜作りの歌」が聞えて来る。
笹山《ささやま》の 山坂越えて
山城の 瓜生の里に
我は 瓜作る 瓜作り
ナヨヤ ライシナヤ サイシナヤ
我は 瓜作る 瓜作り 瓜作り ハレ。
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綾麻呂 文麻呂!……ほら、聞いてみろ! 衛門がお内儀《かみ》さんと一緒に唄をうとうとる……。
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空は紺碧《こんぺき》に晴れ渡っている。どこかで山蝉《やまぜみ》が鳴きはじめた。
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