様! 手前、これからちょっと婆さんの所に知らせに行ってやろうと存じます。実は、手前ども、今朝は暗いうちから起きて、あちらの雑木林に瓜畠を作っておったのでございます。今日は天気もよくなりましたし、ひとつ、婆さんと一緒に不尽山を眺めながら、瓜の種を蒔《ま》いてやろうと思っています。瓜生の里から遥々持って参じましたあの少しばかりの瓜の種が、不尽山の御加護によって、この東国の地にうまく実を結んでくれますれば、手前もう何ひとつ思い残すこともなく、喜んで死ねるのでございますがな。
綾麻呂 む。やってみなさい。それは、早速やってみなさい。
衛門 (剽軽《ひょうきん》に改まって)旦那様!……後の世の人達が、もしこの東国の地でたらふく瓜を食うことが出来るとしたら、それは外ならぬこの瓜生ノ衛門のお陰でござりますぞ!
綾麻呂 (笑って)うむ、そうとも、衛門。それはそうだ。
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衛門、妙に若やいで、剽軽に笑いながら、丘を駆け下りて行くと、文麻呂が立っているので、びっくりしたように、……
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衛門 おや! 文麻呂様!……旦那
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