やればよいものを、弱みにつけ込んであのように純真な文麻呂様を散々笑いものにしたのかもしれませぬ。文麻呂様はきっと都にはいたたまれなくなって、東国へ発《た》とうと思い立たれたのでございましょう。もうあれ以上、恥をしのんで都にとどまることが出来なくなったのでございましょう。
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間――
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綾麻呂 (静かに)む、そう云うことだったのか。……いやしかし、それは、その方が文麻呂にとってはかえってよかったのかもしれん。衛門、……恋に破れたものはな、時として思いも掛けぬ立派な、男らしいことをやるもんだよ。儂《わし》の息子は、そんなこと位でへなへなと参ってしまうような奴ではない。女子《おなご》ひとり位のために世の中から落伍《らくご》してしまうような意気地無しを儂は生んだ覚えはないのだ!
衛門 そうでございますとも、旦那様!
綾麻呂 ところで、衛門。……あいつは今日もまた朝っぱらからずっと部屋に引籠《ひきこも》りっきりなのかな?
衛門 そうらしゅうございます。
綾麻呂 しようのない奴だな。……まだあの下らぬ歌よみ根
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