麻呂!
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文麻呂はなよたけの胸をかたく抱《だ》き締《し》めた。
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なよたけ (ふと、訝《いぶか》しげに)文麻呂! なぜなの?……なぜ、あたしをそんなにきつく抱き締めるの?
文麻呂 お前が好きだからだよ! 死ぬほど好きだからなんだよ! もっともっと、つぶれるほど強くお前を抱き締めてやりたいんだよ!
なよたけ 待って! (抱擁《ほうよう》から脱《のが》れる)ねえ、文麻呂! 聞えない?……わらべ達があたしを呼んでるんだわ! あたしを見失ったわらべ達が呼んでるんだわ!
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行者達の呼ばい声が玄妙《げんみょう》な鈴の音と共に聞えて来た。右手奥の方から……

吐菩加美《とほかみ》 ほッ 依身多女《えみため》 ほッ
吐菩加美 ほッ 依身多女 ほッ
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文麻呂 (耳を澄まし)そうだ! わらべ達の声だ! お前は帰らなくちゃいけない。あの竹林の中に帰らなくちゃいけない。わらべ達がお前を呼んでいる!……なよたけ! 僕は夕方までに
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