土の中の馬賊の歌
小熊秀雄
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)聞き惚《ほれ》た。
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)街|端《は》づれに
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)広々として[#「て」に「ママ」の注記]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)おい/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
私はこゝにひとつの思想を盛つた食餌を捧げるそれは悪いことかもしらないまた善いことかもしらない、たゞ私が信じてゐるだけのことである。
人々が寝静まつた真夜中にどこからともなく土の中から唄が聞えてくる、がや/″\と大勢で話あつたり合唱したりそれは静かな賑やかな土の中の世界から洩れてくる陽気で華やかな馬賊の歌であつた。
歌は調子のよい賑やかなものであるが街の人々はふしぎにこの陽気な唄を地べたに聞くと悲しくなつて了ふのであつた。
『小父さん、草の根がガチャガチャ鳴らしてゐるやうな響きがするよ』
小さな裸の児供は土から生へてゐる一本の草にそつと耳を当て地の底の唄ひ声に聞き惚《ほ
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