どろいた


すつかり眠《ねむ》つちやつた
テン太郎さん ごめんなさいね


きみ達《たち》は、もつと火星《くわせい》の研究《けんきう》に熱心《ねつしん》にならなければいけないよ
だつてわたし ずゐぶん高い木のてつぺんに上つてこわかつたわ
まあよろしい
いや、どうも恐《おそ》れ入りました


ところでテン太郎 お前の写生《しやせい》した絵《ゑ》を見せてごらん
こんなにかけました


テン太郎 お前の描《か》いた絵はこれだ ところで
ほんとうの絵はこれだ
あらッ まるで違《ちが》つちまつた
ほんとに
おかしいわねえ


どうぢや目茶《めちや》くちやな点《てん》だつて ある距離《きより》から見ると そんなに真《まつ》すぐに見えるんぢや
ほんとうですね だから 星の運河《うんが》だつて真すぐに見えても 人|間《げん》がつくつたとはいへませんね
その通りぢや お前は呑《の》みこみが早いぞ


月|野《の》先生《せんせい》は なんとおつしやるんですか
月野|博士《はかせ》はロウエル教授《けうじゆ》と同《おな》じ考《かんが》へで 火星《くわせい》は水が少《すく》ない そこで運河《うんが
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