は一ぱいあるのだ


もう我慢《がまん》できないわ 手がしびれて上からすべり落ちさうだわ


なんだ 智慧《ちゑ》がないなあ 君は足だつて使へるぢやないかあ


もう駄《だ》目よ 足《あし》もふるへてきたのよ
もう一|段《だん》下の枝《えだ》に 下り給《たま》へ 叱《しか》られやしないよ


ああお尻《しり》が 痛《いた》くなつちやつた
困《こま》つたなあ ぢやもう一段下の枝へ


あたい つまらなくなつたわ
僕《ぼく》もたいくつだよ 下の枝まで降《お》りてき給《たま》へ


これなら楽《らく》だわ あんたキャラメルもつてゐたわね
さうだつた 一つあげやう


おや樹《き》の所に 何も見えなくなつたぞ
ほんとだ ニャン子たち 何うしたのだらう


あさうだ 望遠鏡《ばうゑんきやう》をもつてきて見てやらう
ああそれから お父《とう》さんが作《つく》つてやつた模型《もけい》のロケットもとつておいで


どれどれ
おやあ これは驚《おど》ろいた ふたりとも樹の下で眠《ねむ》つてゐるぞ


このロケットで驚ろかしてやれ
アハハ 驚ろくぞきつと


(ドカン!)
うわあ お
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