早く画風をつくりあげてゐるのに、善意に解して、彼は大器として後年その画風を確立するのであるかもしれない、しかし半面に岳陵は暗中模索をしてゐるのだと解するのが至当だらう。
彼には彼一流の美しい抒情をもつてゐる、作品「砂浜」の単純な構成と美の中に、すべての将来の秘密がひそんでゐるのだが、彼はそれに気附いてはをるまい
奥村土牛小論
○…最近の土牛の作品の市価の鰻のぼりはすばらしいもので一にも二にも土牛で持ちきつた期間があつた、この原因を解く者は誰もゐない、土牛はすつかり神殿におしこめられて、急に賑やかに御燈明をあげられてしまつた
○…これほどに土牛の人間と作品を神格化してしまつたのは、それはせつせと提灯を運びこむ画商共の仕業であつたさうで、ところが画商共は、土牛の神様化をやり始めてゐるうちに、いづれも強度の自己催眠にかゝり滑稽にも、土牛の絵の出来悪しの問題は、そつちのけで、土牛の一投足、一挙手にも値打づけるやうになつてしまつた
○…例へば土牛の作品の値段がぐん/\あがる一理由の中には「土牛の遅筆」がある、絵を依頼しても、なか/\出来ないといふことは、困つたやうな顔をしてゐて、実
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