理由はオカッパにしてゐるから
○…大観は有名だからそして栖鳳は僕がもつてゐる扇子にこの人の絵が刷つてあるから、さうして栖鳳の絵は真夏の扇子をバタ/\やることに依つて起きる涼しさの有難さと共に扇面の栖鳳の画風はこの人なりに理解される然しこの栖鳳の扇面うちわ的大衆化こそ彼の築きあげた努力なのである

    中村岳陵小論

○…中村岳陵はどちらかといへば気の多い作家である、何んでも一度は手掛けてみなければ気がすまぬといふところがある、制作態度が慎重だからいいやうなものゝテクニック不足の作家なら、すぐボロをだすところだらう、個展なども開いてみればおそろしく絵が概念的だし工夫といふものを放棄してゐて至つて常識的な絵になつてゐる、大作の意表に出るやうなテーマの取扱ひ方などに比べると小品物は味気ない貧寒なものだ。
○…彼は写生に熱心で、その追究が形態の崩れるまで凝視的だが、その形態をまとめる力をうしなつて、時には洋画の抽象派の連中の喜びさうな、ちよつと見てはわからないやうな絵を描くことが間々ある、水を扱つたものにさうしたものが多いやうだ、彼は珍しく岳陵の画風といふものをもつてゐない、すべての連中が
前へ 次へ
全419ページ中393ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング