展開会第一日に描かれてゐた股の線が、十一月三日には消されてあるといふ、それに対して、文部当局の答弁も、また貴方自身の答弁がもし『そんなことは知らない、会期中に加筆して消した、そんなことは絶対にない――』といはれても、私にとつてはそれを覆す証拠といふものをもちません、私は最初見たときあつたといふ、私自身の直感を信じて、『いや確かに加筆してゐる――』と自己の確信を述べる以外に手段がありません、
 しかし私には満更味方がないとはいへないのです、それはこの公開状の掲載した原稿はをそらく文展開催期間中に発行できるでせう、一本の線があつたか、なかつたか、後から消したかどうかといふことがわかるのは、技術者としての日本画家の諸君あるのみです、第一日招待日に行つた画家で貴方の作品を注意してみた画家があつたら、再度会場に足を運んでみればどつちが正しいか明瞭になる筈です、貴方の作品に手を加へたのは誰でせう、然も会期中に勝手に手を加へていゝものでせうか、審査員の権威といふものはどこにあるのでせう、もし貴方自身が手を加へたとしたら、貴方も長いものに巻かれることを知つてゐますねといひたい、或は貴方も知らないのに、
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