らなかつたが、橋本明治といふ作者の研究的態度が審査員間に是非の問題になつたといふことです、研究的態度を[#「を」に「ママ」の注記]審査席上で問題になるといふことは、よくよくのことに違ひない、殊に審査の本質は、その作品出来栄え本位で行くべきで、最悪でないかぎりは作者の研究的態度などを問題にすべきではないからです、貴方の制作上の態度にまで審査員が口を入れるといふことは、個人の自由に対する、審査員の一つの越権行為と見るべきです、しかし私は今にして見る場合には、あなたの研究態度で、審査員が別れて論じたといふことは、最悪の場合であつたことが想像されます。
 私は招待をうけて、文展招待日第一日に出掛けました、そして貴方の作品も拝見しました、そして貴方の作品の前にじつと立つて、この作品『三人の女』の何処に作者の研究態度の論難点があつたのであらうかと、ながいこと調べ始めました、洋画家の私の知人は貴方の『三人の女』はピカソの日本的解釈だと言ひました、それはピカソの作品に子供を差上げた作品もありましたからです、私の見解では『三人の女』は題材的に深い計画のあつたものではなく、日本画界に於ける純然たる新形式の
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