事である。問題はバックの銀と前に描いたものとの反映の仕方が充分でなかつた。黒と銀との関係より、黒と茶との関係の方が成功してゐたし、生きてゐた。総体的に今回は仕事が硬くなつてゐた。間宮正[#「間宮正」に傍点]氏――『春郊』二つの丘の中に引かれた線の方向の苦心が面白い。然し成功とは言へない。船田玉樹[#「船田玉樹」に傍点]氏――明瞭、空白、は好感がもてるが、画面に塊りが欲しかつた。部分的描写を全体的に高めるといふ方法に欠けてゐた。中江正樹[#「中江正樹」に傍点]氏――『風花』美しい感覚の持ち主である。このまゝ新しい色の発見に進むこと。風に折れまがつた葉と、折れまがらない葉との関係がはつきりしてゐない。風の吹く方向に神経の細かさが不足してゐたためであらう。久保田善太郎[#「久保田善太郎」に傍点]氏――『陶房』カマドの上に陶器を描いたのはやり方が突飛な割に少しも不自然ではなかつた。配列は一考の必要がある。柴田安子[#「柴田安子」に傍点]氏――『馬市帰路』光りの落ちてきかたは興味がある。子供の頬へ当つた光線は的確であつた。画の出来不出来を別にして、作者の思索生活が出てゐるのは観る者をうつ。井関雅
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