どうしても一色にしてしまへないものがある、彼はそれを一色にする、環境には色などはない、環境をつくつてゐる、個々の具体的な物に色があるだけだ、環境とはこれらの綜合的な色の『答』へだ、この人のデッサンは見てゐて気持がよい、田舎にをくことは惜しい作家である、仕事が社会性がある(甚だ稀薄だが)あまりに社会性のない画家が多い折柄だから、この作家の農村をテーマにしたものを尊重したい気になる。
△武者小路実篤氏――『風景』『静物』何れもうまいものだ、素人だといはれてゐるが、会場を一巡して見落さないところを見るとその個性は玄人を凌いでゐる、作者は恥かしがらないで氏の平凡な人生観を平凡な絵にして行つたらいい。
△梅原龍三郎氏――『霧島』(一)を誰もほめる、そこで私は誰も褒めさうもない(二)を褒めてみる、どつちを褒めても同じだといふ意味で、人々の見落した側に、却つて作者の本質が露はれてゐる場合が多いからだ、画面の上下に物を描き、観る者の視覚を二つに分割させてから、第三にスーと真中に感覚を引つけてゆく手際の良さは、永年この路で苦労した、カラクリ師でなければ出来ない業だ、梅原氏は観る者を時間的デティルの上でピ
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