したら、隠れた才能がぐんぐんと現れさうな気がする時もある、
恐ろしいのは環境の力である、春陽会にせよ、国展にせよ、こゝの静的な環境はどうにもならないものがある、突然の変化をもつて、新しい仕事をしようと気構へてゐる作家もあるだらう、然しさうした積極性をもたうとすると、ぐつとそれを後に引きつけるものがある筈だ。
一体それはなんだらう、春陽会といふ一つの団体が身につけてゐる環境であり、脱れることのできない泥沼である。その意味で出品作家達個々の背負つてゐる社会的環境の性質を、かうして具体的に展覧会で見せてくれて貰へるといへる、独立展は観者の眼を痛くするための展覧会であるとすれば、春陽会国展は観者の眼を瞠らす展覧会である、こゝに出品してゐる作家に、私は芸術上の言葉、『平安』『秩序』『完成』『理性』『静観美』といつた性質の言葉が全部当てはまると思ふ、しかしこれらの合法則的な言葉を認めこれが作品に現れてゐるとすれば、これらのものの正反対の、『不安』『無秩序』『未完成』『感情』『動的美』といつた心理的過程を、これらの人々が真剣に通過してきて、これらのまとまつた温和な絵が出来たのかどうかを質問したい
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