の確保をこそ望みたい。
○伊藤継郎[#「伊藤継郎」に傍点]氏――描く対象に対する偏愛はかまはない、しかし色調を固執することは誤りである。対象に依つて色彩は必然的に変化してゆくものであるし、それを怖れる必要はない、前回のものにこの種の固執があつて、粗雑な画面の扱があつたが、今回の出品画にはその危険は去つたやうだ、『鳩を配した裸婦』の写実力は明日へのたくましい進発を約束したものがある、仕事は困難になつてゆくだらう。然し洗練された自我を盛りあげるために、画風も自分のものを既に樹立した感じである。
○竹谷富士雄[#「竹谷富士雄」に傍点]氏――特待である、『夏』『海の女』では『夏』に詩味豊かなものがある、突込んである割に、映えないのは作者の心理に停頓があるからだ、色彩の重ねの効果を計画の中で軽蔑しすぎた感がある、近代感覚としても先走つた軽跳なモダニズムを排して、重厚で暗鬱な時代の色調を表現してゐるために、実感的である。
○福島金一郎[#「福島金一郎」に傍点]氏――他人は福島氏を目してボナールの画風の追求者であるといつた風に解してゐる、然し私はさうは思はない、既に画風に独特なものが芽生えてゐる、熱
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