仕事が出来るんだ、写実家として満たされないといふ悩みを発見する『早春雨後』は他の二点に比して、鮮明な態度がいゝ、画は流動をしてゐるし近代人としての叫びがあり僕の助言をしなくても安住する人ではないから自分の道をひとりで開拓してゆける人だ。
 ▲前田清君 この人の態度は決してあいまい[#「あいまい」に傍点]ではない、やがて現在の境地を脱出すると思はれる、このまま押すすめて、朗かな色調に到達することを期待する。
 ▲西島英夫君 安井氏張の盛あげた一点は明かに邪道と思ふ『陽春の午後』は真面目でそれでなか/\細心なところが喜ばしい、だが惜いことには満足をしてゐる画が多いので沈滞にある有様だ、もつと凝視こそ望ましい。
 ▲小野寺松美君 水彩『花』は呼《よび》かけるなつかしみのある画で、考慮の深いすぐれた何物かを握つてゐる人だから勉強次第だと思はれる。

   (二)[#「(二)」は縦中横]

 ▲鈴木秦君 三点の中ではなんと言つても『家と曇』だらう他の二点はずつと落ちるこの二点は既に君としては過去の仕事に属すべき性質の画だこの人の画を観て何時も惜く思はれる点は『家と曇』風な暗い憂鬱な調子のものが精
前へ 次へ
全419ページ中223ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング