ど、私の興味をひいたものがない、誰がどうしてこの二人を組み合したのか、それはあまりにぴつたりとした組み合せであり、また皮肉な組み合せのやうな感想も湧いたのである。土牛はその年来の画業に近来いよいよ滋味を加へてきてゐるが、一言で言へば、土牛は嫌々絵を描いてゐるのである、一個の柿を描くときその外劃線を引くときの心理的気倦るさ、これまで土牛は注文に応じて、何個の柿を描いてきたかは知らないが、果実店の三軒やそこらは開業できるほど、柿や其他の果実類の数量を描いてきたであらう。そしていまこゝへ来てたつた数個の果実を描いて八千円もの市価を産むところまで、職業的にもあきるほどに果実を突つき描いてきたであらう。そして柿を描くのにも。矢のやうな催促の中で、嫌々引いた幾本から線の交錯によつて、絵がやつとの思ひで注文者に間に合つたり、合はなかつたりする。しかし画業の難かしさまた真個《ほんと》うの意味での妙味は、実はさうした嫌々に線を引くところまできて始めて、仕事の出発があるともいへよう。
土牛はその線を嫌々引けば引くほど、その線が光彩あるものとして、また深い人間的味がその線に滲み出るのである。ところで桂華の
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