たまらないからである。古い形式の復活よりも、下手でも新しい形式の発見は有益である。ただ大智氏のやうな言ひ方は、極めて少数の人だけがその真実を理解し得る言葉であり、これは大智氏の創作態度に現はれた『捨身』の態度として解すべきであらう。
 しかも大智氏は新しい形式をさへ事実編み出してゐるのである。読者諸君は大智勝観氏の作品の構図に注意していただきたい、とともにその画中の山岳或は家屋に殆んど三角形にちかい、或は全く三角形に描かれたもののあることを発見されるであらう。この三角形の表現は、非常に独創的なもので、五十八歳の作家のものとは思へない、新しい方法の獲得なのである。その意味から若い画家も顔色なしのものがある。私が大智氏が日本画に於ける直線と曲線との対立に悩んでゐて、一つの解決点にすゝんでゐると指摘したが、その現はし方はさまざまあるが、なかでも具体的には、三角形の形態への到達を問題にすることができる。直線といひ曲線といひこの二つのものの、一元的な結合、この二つのものの親和状態といふものが、どういふ方法によつて出来るであらうか、それは二つのものに共通な第三のもの、第三の方法を選ぶより方法がない
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