、制作をすゝめてゐる作家は少くない。さうした意味では時々刻々に出来のよい作品も描いてゐる。しかしその方法は創作方法の瞬間的解決ができてゐても、全体的な一貫した、絵画の本質問題は解かれてはゐない。大智氏の画風の滋味な行き方の中には、一貫した系統的な仕事のすゝめ方がある。前述のやうに、その画面の『整理の方法』『簡略化の方法』は、年とともに完璧に近づいてゐるやうだ。世間ではそのことを問題にしない。作者の激しい方法上の意図のあるところを見遁してしまふのである。嘗て『島四国の一日』に於いて得意な連作物で、線描の持ち味の多角的な面を見せてゐる。この作品の中には、大智勝観氏のあらゆる性格的なものから制作上の方法から、一切のものが含まれてゐる。この作品は大智氏自身にとつても全く研究的な態度で制作をすすめられたものに違ひないが、作家研究の立場からみても、この『島四国の一日』は大智氏のこれまでの作の中では、多くの問題をもつた作である。対象の把握の方法の種々層を、六種の画面に於いて、六通りに描いてゐるといふ意味からも、其後の大智勝観氏の画風のすすみ方の研究の上からも、この作は興味がふかい。現在の画風は、そこ
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