居たのかい、わしはどれ程お前を、うらんでゐたかしれないよ。
――まあ、まあ、爺さん、わしもどれほど逢ひたかつたかしれないよ。
爺さん牛と、婆さん牛は、思ひがけない、めぐりあひに、抱き合つて嬉しなきに泣きました。
――どどん、どん。
――どどんが、どんどん。
赤いお祭り提灯が、ぶらぶら風にゆれ、紅白のだんだら幕の張り廻された杉の森の中では、いま村祭の賑はひの最中でした。
爺さん牛、婆さん牛は、その祭の社殿に、それは大きな大きな太鼓となつて、張られてゐたのです。
村の若衆が、いりかはり、たちかはりこの太鼓を、それは上手に敲きました。
――婆さん、わし達はこんな幸福に逢つたことはないなあ。
――わしは、あの丸い棒がからだに触れると急に陽気になつて、歌ひだしたくなる。
――お前とは、いつもかうして離れることがないし。
――あたりは賑やかだしなあ。わし達の若い時代が、いつぺんに戻つて来たやうだ。さあ婆さん、いつしよに歌つた、歌つた。
――どどん、どん。
――どどんが、どんどん。
夫婦牛の太鼓は、七日の村祭に、それは幸福に鳴りつづきました。
お祭りの最後の七日目の事で
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