ませう。
――殺《や》つつけるといふのは、お前達を殺《ころ》してしまふことだよ。
――殺すといふことは、どんなことでございませう。
――さうだな殺すといふことは、死んでしまふことだな。
――死ぬといふことは、どうなることでございませう。
――どうもわからないな、実はな、わしもよく、その死ぬといふことがわからないが、まだいつぺんも死んで見た事がないんでな。
飼主も、かう言つて、小舎の横木に頬杖をして思案をしました。
――まあ、たとへばお前達を、その屠殺場といふ、街端《まちはづ》れの黒い建物の中にひつぱり込んで、額を金槌でぽかりと殴りつけるのだ、すると額からは、血といふ赤いものが流れだして。
すると爺さん牛は、横合から頓狂な声をだして、
――旦那さま。すると旦那さまが、毎朝わし達を牧場に追ひだすときのやうに、鞭で尻つぺたを、殴りつける時のやうにして、
――あんな、生ぬるいもんぢやないよ、力まかせに、精一杯にな、殴りつけるんだ、お前たちが、大きな地響して、ひつくり返つてしまふほどに殴るのさ。
――あ、わかつた、死ぬといふのは、そのひつくり返る事だな。
――ああ、違ひな
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