たくなつた手品師をとり囲んで、河岸で子供達がわいわい騒ぎました。
 手品師は、眠つたやうな穏やかな顔をして死んでゐました、手品の種のはひつた袋を枕にして、その袋からは、綿細工の鬚の長い人形が、お道化《どけ》た顔をはみだして、子供たちの顔を見てゐるやうでした。(大15・12愛国婦人)

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或る夫婦牛《めをとうし》の話

 ……私の書斎に、遠くの村祭の、陽気な太鼓の音がきこえてきましたが、昨日からばつたりと、その音が鳴り止《や》んでしまひました。
 ……この破れた太鼓のお話をしようと思ひます。
     *
 ――爺さんや、わしは今夜はたいへん胸騒ぎがしてならないよ。急にお前さんと、引き離されてしまふやうな、気がしてならないな。
 ――ああ、婆《ばあ》さんや、わしも胸が、どきん、どきんするよ、きつと明日《あした》は、何か悪るい出来事があるに違ひないな。
 爺さん牛と、婆さん牛とは、小さな牛小舎の中に、こんなことを、しやべりあつてゐました、はては気の弱い婆さん牛は、声をあげて泣きだしました。
 爺さん牛も、婆さん牛が、泣くので、つい悲しくなつて、大きな声でいつしよに
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