仲善しになつてしまひました。姉娘はじつと青い小父さんのダンスを見て居りました。
なんといふしなやかな体でせう。
青い小父さんは、つまさきで立つて、空にむかつて棒のやうな体にしたり、からだをくる/\と石ころのやうに小さくして[#底本は「小さくて」]しまつたり、沼岸の柳の枝にからだを巻つけたり、それはさまざまな舞踊やら曲芸やらをやりました。
しまひには姉娘の魚と手をとりあつて、水の上でダンスをやりました。
青い小父さんの鱗《うろこ》は、それはこまかで、お日さまの光をうけてきら/\と青く輝きました。それから、かなり暫く青い小父さんと魚とは、きちがひの様になつて、水の上でダンスをやつてゐました。
それから五六日も経つたけれども、姉娘は沼底の家に帰つてきませんでした。
両親や兄妹たちはたいへん心配して沼の中を探しましたがみあたりません。妹娘の魚は魔法使の青い小父さんにきつと、姉さんは連れて行かれたに、ちがひないと信じました。
それから五日程して、よく沼岸の砂地にあそびにくる、尻尾《しつぽ》の短い赤い小鳥が姉さんの居処をしらしてくれました。
『この沼から十間程はなれた、青い草の寝床
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