の酋長のうちにも、武勇のすぐれた者もゐましたが、この小男の槍のつかひ方のうまいのにはかなひませんでした、船の上で助けをよんでゐるのは、かうして小男にむりやりに船にのせられた村の酋長たちであつたのです。
 それでアイヌ達は村の沖合に、帆前船が現はれるのを大へん怖れてゐるのでした。一度アイヌの村にこの小男の船が現はれると、その村から足の早いアイヌが走り出して隣り村まで駈けてゆきます、村に入るとこのアイヌは村中にひびくやうな大きな声で『フホーイ、フホーイ』と叫ぶのです、これはアイヌ仲間で、何か大きな出来事が起きたときに呼ぶ叫び声でした、すると村中のアイヌが家からとび出して、この隣り村から走つて来た伝令のアイヌのまはりを取りかこむのでした。
『大変です、皆さん、私の村に赤い顔の小男の船がやつて来ました、あすの夕方にきつとあなた達の村にやつてくるでせう――』
 かう報告して、そして伝令のアイヌは又自分の村へ走りながら帰つて行きます、すると教へられた村では、そこからもフホホーイの伝令が村から村へと飛びまはるのでした。
 或る村に、年若い酋長夫婦が住んで居りました、アイヌ仲間にも大変徳望があつて、村
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