足を埋めてごらん、きれいな牡丹の花となる。』
 とかう言ひました。
 唖娘はたいへん喜んで、花園の土の中に両足を埋めてみると翌朝唖娘は、それは美しい緋色の牡丹となつてゐたのです。

    五
 牡丹の花園の、まつしろな花の中にたつた一本咲いてゐる、唖娘の緋牡丹は、仲間の牡丹達に、それは/\女王さまのやうに、もてはやされました。
 その上に、唖娘が野原でお友達になつた緋の衣装《ころも》をきた少女が、この牡丹園の主であつたのです。
 牡丹園の少女は、それは優しい心の持主で唖娘の牡丹を『緋牡丹姫《ひぼたんひめ》』と呼んでくれました。緋牡丹姫のいちばん嬉しかつたのは、おたがひ牡丹同志では、自由自在に話をすることができることでした。
 緋牡丹姫は、お友達の白い牡丹に、これまでの悲しかつた身の上を物語りますと、みなはたいへん同情をしてくれました。
『わたしは、精いつぱい大きな声で笑つてみたいの……わたしは笑ふことも泣く事も忘れてしまつたのですもの。』
 と言ひますと、白い牡丹の花は、眼をまんまるくして
『そんな幸福なことがあるでせうか、私達の花の世界では、笑ふことをかたく禁じられてゐるのです、も
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