さんの気があらくなつてまゐります。
そしてはげしく薔薇の鞭をならしました。
唖娘はいち/\、ひとつ残らず薔薇の花に、接吻をして廻らなければなりませんでした、すると不思議なことには、蕾はぱつと開き、元気なくしをれていた花は、いき/\と頭をもたげました。
唖娘は午後から、かうして幾千といふ数かぎりない花園の薔薇に、接吻をさせられましたが、しまひには唖娘の可愛らしい唇は、あれきつてザクロのやうになつてしまひました、そしてふつくらと、ふくらんでゐた頬も棘に引掻れて、憐れに傷ついて、治るひまもないほどでありました。
夜になると、唖娘はまた小さなカンテラをともして、花園にゆかなければなりませんでした、そしてそのカンテラの灯でてらしながら、薔薇のひとつひとつの棘をていねいに磨かなければなりませんでした。
唖娘が、蛙のやうにも、ひい/\と馬のやうにも泣くことができなくなりますと
『この娘は、なんといふちかごろ強情になつたのだらう、少し位打つても泣かない。』
かう小母さんは言ひながら、以前にも増してはげしく鞭を振りました。
唖娘はやがて、まつたく泣くことも笑ふことも忘れてしまつて、石のやう
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