た。(昭13・6三十四)

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緋牡丹《ひぼたん》姫

    一
 唖娘はたつた一人で野原にやつてまゐりました。
 そして柔らかい草の上に坐つて、花を摘んであそんでゐました。
 さま/゛\の、青や赤の草花の花弁《はなびら》をいちまいいちまい、針で通してつなぎました。この花弁で首輪を作つたり腕輪をつくつたりしてあそびました。
 唖娘は花をつみながら、どんなにお友達のないことを悲しんだでせう、唖娘はどんなに泣いたことでせう。唖娘はたいへんほかの娘《こ》よりも、たくさん涙をもつてゐました、そしてほかの娘よりもたくさん泣いたのでした。
 しかし唖娘はけつしてお友達の前で泣いたことがありませんでした。
『まあ、ほんとにお可笑《かし》いわね、蛙のやうよ』
 お友達は、唖娘の声をたてて、泣くのをかう言つて笑ひました。唖娘は、泣くことがほんとに下手でした、そして声を立てて泣いても、お友達の言ふやうに、ほんとうに蛙のやうに、いやらしい声をたてて泣くのです。
 お友達よりも、たくさんの涙をもつてゐましたので、その涙は眼にあふれさうです、しかし皆《みんな》の前で、泣いてはみなに笑は
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