を背負つて
到る処へ狩猟し游撃する
弾丸の痕――字の跡で
悪魔を駆立つ符を綴り
自覚せる人間の眼をめざまして
暗夜の悪夢から
真昼の憧れへと
一歩/\に正しい現実の途を
踏みしめて
生きるための闘ひをさせなければならん、
私もいづれかの隊の中に
前に立てば
旗手になり
後に守れば
ラッパになる
戦後に私の屍を[#「を」に「ママ」の注記]見えなければ
毎度慶祝記念会の台上に
私の歌を[#「を」に「ママ」の注記]聞えるだらう。
[#ここで字下げ終わり]

小熊(4)[#「(4)」は縦中横]鼓膜よ、
[#ここから3字下げ]
われわれの耳よ、
さわがしい人生に
答へてくれるお前よ、
砲弾の中の歌は
どんなにお前をふるはすか、
感動をもつてわれらの耳は
ウサギ馬のやうに敏感だ、
やさしい暁の憧憬者は
たつたいま暗夜の叢の中から
とびだしたばかりだ、
そして友よ、君の弾に
私のウサギ馬は撃たる
君の真実に――、
そして倒れる、
そして蘇生する、
そして君を乗せて共同の路を走りだす、
[#ここで字下げ終わり]

雷(5)[#「(5)」は縦中横] 私と君
[#ここから3字下げ]
いや、私達と
無数の勤
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