舞台の照明を
消しまはる格好で
防空演習のやうでもある。
サモアルは空つぽで
ペチカは燃えず、
されば新劇林のごとく静かなる部屋に
かかる小沢の喧騒な演技も
また情熱の現れか?


女流諷刺詩篇


大田洋子

小説屋大田洋子さん、
あなたは懸賞小説大当り
女が一万円儲けるには
バクチぢや骨だし
株位のもの
一本三銭五厘のペン先から
よくも大枚稼ぎだしたもの


風見章子

土から生へたツクシンボウ
春の娘はぼんやりと
突立つばかりで
ワイワイと、フワ[#「ワ」に「ママ」の注記]ンが
賞める、名演技、
コツもなく、曲もなく
ただ 純情のよき娘
年寄のフワ[#「ワ」に「ママ」の注記]ンのいふことに
うちの娘もせめて
あの役者の半分も温和しかつたらと、


小山いと子

原稿、二百枚も朝飯前、
近頃の野心満々たることよ、
足まめ、手まめに
調べた小説
行つたこともないところも
見たやうにくはしく書いてしまふ、
調べてばかりゐる女検事から
早く女弁護士におなりなさい


轟夕起子

あなたの馬好き勇[#「勇」に「ママ」の注記]名だ
姫御前が馬に乗り
馬の胴体締めつける
力があるとは驚ろい
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