にかはるやうに
移りかはり激しく
貧しいものだけが
真実の喜怒哀楽を享楽する。
怖ろしい言葉を
頭を掻きむしつて
詩をかく時代は去つた
立派な発声法によつて
生きた人間の呼吸を吐け
友よ、
労働者詩人よ
詩の古い形式を理解しろ
だが信ずるな
僕はあいつらの
貞操をコヂあけて
砂をぶち込んでやつた
真理でもないものを
真理だと堅く守つてゐたものにとつて
君達も僕のやうに
暴力者となつたらいい
うんと怖しい言葉を吐くのだ
たへがたい悲しみを
痙攣的な憤怒を
立派に整理して
吐露することが
科学的な新しい詩人の役割だ
可愛い雀斑《そばかす》の娘が
私達の傍にやつてくるだらう
魅力はもうあいつらにないから
あいつらのところには
もう美しいものが
集つていかないだらう
さあ、元気を出して
うたふのだ
呟いてはいけない
口の開けたてを正確にして
生活の歌をうたふのだ
訴訟狂のやうに
わが友よ
君に激昂の日が
幾日あつたか
数へて見よ
詩人を名乗るくせに
感情的になつた経験があるか
僕は訴訟狂のやうに
民衆に訴へてゐる
純粋な快楽は
権利を主張する瞬間にある
心や肉体の
すりへることを恐
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