では婦人のことは誰と語るべきだらう、
男達は女のことに就いてはヒットラーのやうに、
偽の英雄のやうに、
物事を端し折つて解決してしまふ、
しんみりと男同志が
女のことについて語り合ふとき
――女の正体はわからないね
と最後に男達は投げ出してしまふ。
2
勢ひ強い語気や、
はげしい物言ひ、
男のやうなあなたの性格は
益々私に逆にあなたの
女らしさを感じさせるだけだし、
あなたが現代の女の霊魂の沈滞のために
代表してたゝかつてゐる
悲壮なるものを私はあなたからうけとる。
3
女には底の知れないふかいところに、
到底男の理解ができない『凝結《かたまり》』があると
ある友が私にいつた言葉をふつと思ひ出しながら、
こゝろよいあなたの声の空気の震へに身をまかせて
話しつゞけてゐる私の唇が、
突然、衝動的に歪んだ
あなたはそれを見てとつたでせうか、
すべての男性的な女に対して
女の誤まつた理性に就いての
感想がふつと湧いたのです、
私が現在女性に対して
感じてゐることは
男としての女に対する焦燥があるだけです。
女に対して心に
焦らだちをもつた男の一人です。
誰が我々に男
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